広報効果を最適化するために

プレスリリースを出すべきか悩んだ理由

今回の展示会で、クライアント様はナンバーを取得したオリジナルカーをブースに展示しました。新しいオリジナルカーは、来場者の目を引く存在であり、ニュース性という意味でも十分なインパクトがあります。広報の観点から考えれば、PR TIMESや@Pressなどのワイヤーサービスを活用し、積極的にプレスリリースを配信する選択肢ももちろんありました。もし配信すれば、多くのメディアやニュースサイトに転載される可能性があります。オリジナルカーという分かりやすい話題がある以上、露出の機会は広がるはず。実際に、広報担当として考えれば「出さない理由はない」とも言える状況でした。

しかし、今回の展示会でクライアント様が伝えたかったことは、展示車そのものではなく、保安基準への適合をはじめとした、量産化に向けた車両開発支援やものづくりへの取り組みでした。展示車は、その技術や考え方を体現する存在。

もしワイヤーサービスを活用した結果、展示車だけが話題になり、「ナンバーを取得した面白い車を作った会社」という印象だけが残ってしまったら、本来伝えたいことから少しずれてしまいます。クライアント様との打ち合わせの中で、「車に注目してもらえるのは、エンジニアとしてもちろん嬉しい」というお話もありました。しかし、どんなに意図して丁寧にプレスリリースを書いても、業界の特性上展示車の情報だけが一人歩きすることも十分に考えられました。

webサイトに掲載したプレスリリース
あえて発信を絞り、受け皿を整える

何度も議論を重ねた結果、横浜・名古屋ともにワイヤーサービスへの配信は見送ることにしました。広報担当としては、情報を広く届けられる可能性を自ら手放すことにもなりますが、それでも最終的に優先したのは、露出の量ではなく伝わる内容でした。

配信は絞る一方で、オウンドメディアでの受け皿を整えました。正しい情報を発信するために、人とくるまのテクノロジー展オンラインページの作成やオンラインページでのプレスリリース掲載に加え、クライアント様のWebサイトでも展示会に関する情報発信を進めました。展示車に込めた考え方、出展に至った背景、展示会で伝えたいこと。それらをニュースリリースにまとめ、来場者やメディアの方が事前に情報を調べた際に、企業の考え方や取り組みを理解できるよう、関連ページも複数整備しました。

https://number9works.jp/

派手な広報ではありませんが、展示会で興味を持ってくださった方が、その先の情報にたどり着ける状態をつくることも広報の大切な役割です。

広報はどうしてもメディア露出を成果指標にしがちですが、本当に大切なのは「どれだけ掲載されたか」の前に、「何が伝わったか」なのかもしれません。企業の価値を正しく届けることの重要性を改めて感じた広報活動でした。

webサイトでオリジナルカーに関する思いや背景を訴求
結果として、等身大のまま伝わった

展示会当日、実際にブースへ足を運んでくださったメディア関係者の方々が取材をしてくださいました。また、人とくるまのテクノロジー展オンラインに掲載した情報や、クライアント様のWebサイトを見て記事掲載につながったケースもありました。掲載された記事は、展示車だけを取り上げるのではなく、その背景にある技術や事業内容、クライアント様の想いまで丁寧に紹介してくださるものばかりでした。その後、Yahoo!ニュースなどにも掲載され、多くの方の目に触れる機会も生まれました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/201d86d0facfad697781f34941f5a38d4c3c3bd1

https://kuruma-news.jp/photo/1069812

https://response.jp/article/2026/06/02/412123.html

今回の広報活動は決して積極的な露出戦略ではありませんでしたがクライアント様が本当に伝えたかったことが、等身大のまま伝わる結果につながったように感じています。広報担当として、発信の仕方やバランスの取り方を勉強させていただきました。