来場者に伝わるブースづくり

コンセプトは決まったのにデザインが決まらない

戦略設計を通じて、誰に何を伝えたいのかは整理できていました。それをどのようにブースデザインに落とし込むのか?

そこで最初に考えたのは、シンプルで洗練されたブースデザインです。余計な情報を削ぎ落とし、すっきりとした空間で魅せる。そんな方向性でパースを作成し、ブースイメージを固めていきました。

しかし、何度見返しても、何度手を加えてもしっくりくることはなく、違和感が残っていました。

ブースデザイン初期のパースラフ画
オートモーティブワールドで見つけた、違和感の答え

違和感を抱えたまま、今年1月にオートモーティブワールドを視察。改めて多くのブースを見て回る中で、私たちが目を引かれたのは、必ずしもかっこいいブースではありませんでした。遠くから見ても、「この会社は何をしている会社なのか」「何を目指しているのか」が一目で伝わるブースでした。大きな文字で伝えたいメッセージや商品・サービスが表現され、そのメッセージと展示物がしっかりつながっているブースでした。

大手OEMのようにすでにブランドが確立されている企業であれば、シンプルでスタイリッシュなデザインがブランド価値を高めます。しかし熱量を伝えたいベンチャー企業の場合、もっと違うデザインの方がしっくりくるのではないか?まずは「何をしている会社なのか」「どんな想いで取り組んでいるのか」を知ってもらうことが重要であり、その熱量や挑戦そのものが、この企業の大きな魅力なはず。だからこそ、シンプルでスタイリッシュなだけでは伝えきれないものがあると感じました。クライアント様が持つ想いや目指している未来と、デザインの見せ方が一致していなかったことが、違和感につながっていました。

展示会のブースは、単にきれいであれば良いわけではなく、企業の想いとデザインがつながって初めて、その会社らしさが伝わるのだと思います。企業のフェーズや伝えたいことによって、ふさわしいデザインは違うというこに改めて気づきました。

「かっこいい」よりも「伝わること」を選択

クライアント様の想いや事業内容が伝わるブースを目指し、もう一度デザインを見直しました。

特にこだわったのが、壁面全体を使った大型ファブリックでした。何度も何度も、クライアント様とアイデア出しを行い、イメージを作成してはやり直し、ブラッシュアップを重ねました。遠くから見ても特徴がわかるように大きく配置し、ファブリックを通して共感や会話が生まれることをイメージしながら制作しました。

デザインとして見れば、もっと洗練された見せ方もあったかもしれません。それでも私たちは、「シンプルでかっこいい」よりも、「少し泥臭くても思いが伝わる」ことを選びました。展示会は、来場者との出会いを生み出す場所だからこそ、私たちは最後まで「伝わること」を優先してブースづくりを進めました。