展示会の戦略設計
来場者は何に反応しているのか
昨年6月、まず行ったのは「人とくるまのテクノロジー展」の視察でした。横浜会場と名古屋会場の両方を訪れ、さまざまな企業のブースを見て回りました。
どんなブースに人が集まるのか。どんな展示だと内容が伝わりやすいのか。思わず足を止めてしまうブースには、どんな工夫があるのか。デザインの参考にすることももちろん目的のひとつでしたが、それ以上に気になっていたのは、来場者がどんなところに興味を持ち、反応しているのかということでした。
体験できるブース、実車などの目を引く展示物、製品の特徴を分かりやすく伝えるパネル、大きな映像を活用した演出。会場にはさまざまな工夫があり、多くの企業が限られたスペースの中で自社の強みを伝えようとしていました。
その中で私たちが足を止めたのは、単に目立つブースではなく、「私たちは何者で、どんな想いを持って何がしたいのか」そんなメッセージが明確に伝わってくるブースでした。
「出展」というハードル。主催者に出展への想いを伝えるために
一方で、視察と並行して進めていたことがあります。それは出展企画書の作成です。
今回目指したのは横浜会場での4コマ出展。人とくるまのテクノロジー展は出展希望企業も多く、希望通りのスペースを確保できるか、そもそも出展ができるか、高いハードルになります。そこで、単に申し込みをするだけではなく、どのような展示を行いたいのか、なぜ出展したいのかを企画書にまとめ、主催者へ提出しました。
出展準備が本格的に始まってからは、月2回のオンラインミーティングを重ねました。
ミッション・ビジョン・バリューや、差別化ポイントの整理と言語化など、展示会で伝えるべきメッセージを絞り込み、ブースコンセプトへと落とし込んでいきました。ブースイメージや展示内容だけでなく、主催者側に立ってその技術が自動車業界にもたらす価値についても訴求しました。
企画書がどれだけ影響したかは分かりません。それでも、自分たちの想いや構想を言語化することには大きな意味があったと思っています。
デザインの前に、伝えたいことを整理する
最終的なブースデザインや壁面グラフィックの制作も行いましたが、その前段階に多くの時間を使いました。
私たちが考えていたのは、「展示会で何を見せるか」ではなく、「来場者に何を感じて帰ってほしいか」でした。
展示会では、つい製品やサービスの説明に終始してしまいがちです。もちろん、それも大切ですが、その前後にある想いや価値、目指している未来まで含めて伝わると、来場者の受け取り方は大きく変わる、むしろこの部分がないと、記憶には残らないことを自身の体験で感じていました。
私はこのプロジェクトを通じて、改めて企画の重要性を実感しました。そして、クライアント様から主催者様への熱心な働きかけもあり、最終的には希望していた横浜会場4コマでの出展が決定しました。まずは最初のハードルをクリア。とてもホッとしたことを覚えています。
