どうしたら「買う」(行動)を後押しできるか

どうしたら「買う」を後押しできるか?

―旦那さんが新しいクルマを買うに至るまでを観察してわかったことー

 

今日、旦那さんが良いなーと思うクルマを見るため、家族でディーラーに行き、その3時間で面白い発見をしました。

それは、人が思い切った買い物をするときに、どんな心の変化があるか、です。

逆に言うと、

どんな心の変化があると、人は思い切った買い物をするのか?ということ。

少し長くなりますが、備忘録として残したいと思います。

 

背景

旦那さんがほしいと思っていたクルマ
・アウトドアで使用できるピックアップタイプ5人乗り

今まで乗っていたクルマ
・ファミリーカーミニバンタイプ7人乗り

ディーラーに行ったきっかけ
・友人との会話の中で、我が家が乗っているクルマが、買い替えのタイミングにあるという話になったこと

その他の背景

・家族構成は、旦那さん、私、6才の娘の3人家族、+ワンちゃん(コーギー)
・下取りに出せるクルマがある(費用面では無理のない範囲)
・アウトドアが趣味というわけではない
・子どもが生まれる前は、四駆(SUV)、子どもが生まれてからはファミリーカー
・旦那さんの趣味はトレーニング、ファッションにもそれなりのこだわりあり
・私は静観(クルマの買い替えはどちらでもよい)

 

ディーラーについてからの旦那さんを観察しました。

 

展示車を見て、「うわー!かっこいいー!」

憧れのクルマを目の前に、大興奮の旦那さん。
機能や利便性を重視して購入したファミリーカーは、とっても使いやすく、気軽にお出かけもできたし、遠出もストレスなくできた、とっても優秀なクルマ。ただ、それと引き換えに、高揚感や興奮の優先順位は、たしかに下がっていました。一通りクルマを見て、運転席に乗って、「ワクワクするわー!かっこいいわー!」と終始笑顔でした。

 

私の頭の中:「あ、彼は、高揚感やワクワク感、それからある種の優越感や満足感に価値を感じているな」(情緒的価値)

 

 

「…でも、後ろの荷台、使わないしもったいないよな」

高揚感とは裏腹に、一つのハードルが。

「俺ら、たいしてアウトドア派ってわけでもないのにな…、荷台に何載せるんだよ。笑」

私もそう思っていました。笑

クルマの半分くらいが屋根のない荷台で、人が乗り込む車内はファミリーカーに比べると狭いもの。つまり、機能・利便性の面では今までのクルマのほうが活用できたわけです。そして、あまり活用しないであろう荷台に対して対価を払うことを「もったいない」と感じたようです。「こんなものを載せられる」という担当者の方の提案も、あまりピンと来ない様子。

 

私の頭の中:「あ、彼は、情緒的価値とそれを阻む壁の間で揺れ動いているな。機能的価値をおざなりにして情緒的価値にお金を払うことに躊躇感を感じているな。さてどうする?」

 

しかし、この後彼は、ディーラーの担当者や、私や娘の言葉によってクルマの購入を決め、契約に至りました。

 

揺れ動く彼を後押ししたもの

帰りのクルマの中で、私は旦那さんに「購入の決め手は何だったの?」と質問しました。

 

「荷台に何を載せたら良いのか、もったいないと思っていたとき、『これから考えればいいんじゃないかな?今までになかったような、新しい楽しみを。』って言われたとき、たしかに新しいことできるって思って、そしたらもったいないと思わなくなった。今までとは違うことがしたいんだなって。それに、『このクルマかっこいいね!』と嬉しそうにはしゃぐ〇〇(娘)の姿を見て、買いたいと思ったんだよね」

 

と、旦那さんは言いました。

 

私の頭の中「彼は、高揚感や満足感の他に、『娘との新しい楽しみ』『娘との新しい時間』を買ったんだな。そしてそれが、彼の中にあった潜在的なニーズだったのね」

 

もし後押しが何でも良ければ、「かっこいい」「目立つ」「こんなものを荷台に載せられる」といった理由で良かったはずだけど、それでは後押しにならなかった。それは、インサイト(潜在的なニーズ)ではなかったからだと思いました。

 

購買を決める瞬間=「インサイト」をつかれる瞬間

今回の場合、高揚感や満足感はすでに顕在化されていたニーズ、しかし、最後の後押しは、「今までにない、娘との新たな楽しみ・時間」という潜在的なニーズを引き出されたことにあったのだと思います。

 

この、潜在的なニーズをマーケティング用語で「インサイト」と読んでいます。本人さえも意識していないニーズです。

今回、このインサイトをつかれた瞬間に購買に至るチカラに変わるということを、目の当たりにしました。

 

普段、クライアント様との活動の中で「どうやったらPRのチカラで集客できるか」「どうしたら商品・サービスを買ってもらえるか?」といったことを考えていますが、ターゲットのインサイトをつくこともひとつの方法であることを感じました。そして、迫られる決断が大きければ大きいほど、払う対価が大きければ大きいほど、インサイトをつかれると決断しやすいように感じました。

 

ただ、ターゲットさえ意識していない潜在的なニーズをつかむのは、簡単なことではないと思います。

 

ターゲットをよく知り、ターゲットの心に寄り添い、購買に至るまでの心の変化や、背景をじっくり考え、想像したら、きっとつくべきインサイトは見つかると思います。

 

インサイトが見つかれば、背中を押すメッセージも見つかると思います。そんなことをクライアント様と一緒に考えていけたら良いなと思います。

 

今日、ディーラーでの3時間、クルマを購入した費用で、たくさんの発見をし、たくさんの価値を買うことができました^^